離婚後も日本に在留できる?|定住者への資格変更について

離婚後も日本に在留できる?在留資格「定住者」への変更手続きポイント
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はじめに

日本人の配偶者や永住者と離婚後、在留資格の変更についてよくご質問をいただきます。

離婚後、どのような在留資格に変更することができるのでしょうか?

その手続きについて、詳しくご説明します。

離婚後の在留資格の変更の根拠

日本人の配偶者または永住者と離婚した場合、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」としての在留資格の前提となる在留目的が失われます。

つまり、現在の在留資格と実際の滞在目的が一致しない状態となるため、原則として出国、または他の在留資格への変更が求められます。

日本での生活が長く、日本に生活の基盤がある方や、お子さまが日本の学校に通っているなど、日本での継続的な生活に配慮が必要な場合には、離婚後も引き続き日本にとどまることを希望されることがあります。その際、「定住者」への在留資格変更が選択肢として考えられます。

出入国管理及び難民認定法(入管法)では、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格を有する者が離婚後6か月以上経過しても在留資格を変更しない場合、原則として在留資格の取消し対象となることが定められています。

ただし、取消しを行う際には、在留資格変更許可申請や永住許可申請の機会を与えるよう配慮する旨も、同法に明記されています。

在留に影響が出る前に気持ちを切り替え、落ち着いてできるだけ早めに在留資格変更の手続きを検討・準備することが重要です。

変更後在留資格の検討

在留資格の変更にあたっては、ご本人の学歴や職歴、扶養している子の有無など、さまざまな要素を総合的に考慮し、どの在留資格が現実的かを検討する必要があります。

まずは、これまでの経歴を活かせる就労系の在留資格への変更が可能かを確認し、それに該当しない場合には、日本での生活基盤や家庭の状況などを踏まえ、「定住者」への変更が選択肢となることがあります。

離婚後に検討される定住者ビザとは

「定住者」の在留資格には、法務大臣が告示で定めた活動を行う「告示定住者」と、それに該当しない「告示外定住者」があります。離婚後に検討される「定住者」は、この後者であり、個別の事情に応じて、法務大臣が在留を認めるものとされています。

この在留資格は、原則として一度帰国した後に再取得することはできず、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」からの在留資格変更によってのみ申請が受理されます。

したがって、日本に継続して在留する意思がある場合には、帰国をせずに早めの対応が重要となります。

要件や考慮されるポイント

「定住者」への在留資格変更が許可されるかどうかは、法務大臣による個別の審査によって判断されます。

審査においては、日本での生活基盤の有無、日本社会への定着状況、そして引き続き日本に居住する合理的な理由などが、重要な判断要素となります。

以下は、抑えるべき主なポイントです(「日本人の配偶者等」として在留していた方が離婚後に「定住者」への変更を検討するケースを解説しています)。

  • 日本人と婚姻し、「日本人の配偶者等」の在留資格で おおむね3年以上の在留歴がある、または 扶養している日本人の実子 がいること。
  • 日本での 安定した収入の見込み があり、自立した生活を継続できること。
  • 日常生活に支障のない程度の 基本的な日本語能力 があること。
  • 離婚後も日本での在留を継続することについて、合理的な理由があること。
  • 税金や社会保険などの 公的義務を適切に履行 していること。

申請にあたっては、これらの要件を満たしていることを、提出書類などを通じて具体的に証明する必要があります。

以下、個々の条件を見ていきましょう。

日本人と婚姻し、「日本人の配偶者等」の在留資格で3年以上在留していること、または扶養している日本人の実子がいること

日本社会での定着性は、現在のところ、おおむね3年以上の在留歴で判断されています。

日本国籍の子がいない限り、原則として、離婚に至るまでの間に「日本人の配偶者等」として3年以上在留しており、かつ、実際に通常の夫婦として婚姻生活を営んでいたことを立証する必要があります。

別居期間がある場合でも、夫婦間での相互扶助や交流が継続していた事実が確認できれば、その期間も考慮される可能性があります。ただし、それを示す証拠資料の提出が求められます。

なお、離婚した日本人配偶者との間に日本国籍の子がおり、その子を実際に養育・看護している場合には、婚姻の期間にかかわらず「定住者」への変更が認められる可能性があります。

安定した収入の見込みがあり、自立した生活を継続できること

日本で引き続き自立した生活を送るためには、安定した収入や十分な資産があることを証明する必要があります。

特に、企業に雇用され就労するなどして、定期的な収入があることが望ましく、在留継続に支障のない生活基盤があると判断されることが重要です。

日常生活に支障のない程度の基本的な日本語能力があること

求められる日本語能力の目安は、「日常生活に不自由しないこと」や「通常の社会生活が営めること」とされています。

日本語能力試験(JLPT)などの合格証明書をお持ちであれば、能力を示す立証資料として提出することができます。

在留を希望する合理的な理由があること

婚姻関係の解消後も在留を希望する理由について、書面で具体的かつ丁寧に説明する必要があります。

これまでの在留の経緯や離婚に至った事情、双方の離婚意思の確認、現在の生活状況、日本での在留を必要とする理由、収入や資産の状況、身元保証人についての情報報などを含め、総合的に書面に記載し説明します。

公的義務を適切に履行していること

納税や各種届出など、在留資格に関連する公的義務を適切に履行していることが前提となります。

なお、離婚後の在留資格に関する変更事項についても、後述の通り、速やかに届出を行うことが求められます。

身元保証人について

「定住者」の在留資格を取得する際には、身元保証人が必要です。

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格では、配偶者が身元保証人を務めることが一般的でしたが、「定住者」への変更後は、別の身元保証人を探さなければなりません。

身元保証人は、日本人または永住者で、定職と一定の収入がある方がふさわしく、職場の上司や同僚、知人、親戚などに依頼するのが一般的です。

なお、身元保証人に関する詳細については、別の機会に改めて解説したいと思います。

定住者としての生活と今後の可能性

離婚による「定住者」への在留資格変更の手続きは、気を抜けない重要なプロセスであり、万全な準備が求められます。

しかし、変更が許可されれば、「日本人の配偶者」または「永住者の配偶者」と同様に、就労制限なく在留することが可能になります(更新は必要です)。

さらに、一定の条件を満たせば、将来的に永住申請を行うことも可能です。

離婚が決まったら、できるだけ早く、次のステップに向けた手続きを始めましょう。

お早めに専門家にご相談いただくことをお勧めします。

まずは届出 ここ大事!

日本の出入国管理制度において、外国人が守らなければならない義務の一つに、「在留状況の届出」があります。

日本人の配偶者と離婚した場合や、死別した場合には、14日以内に、出入国在留管理庁に定められた届出を行う必要があります(これは本人の義務です)。

届出方法は、インターネットの電子届出システムを通じて行う、指定の郵送先に郵送する、最寄りの入国管理局に直接持参する、のいずれかです。

各方法には手続きに関する詳細な指定や注意事項があるため、必ず出入国管理庁のウェブサイトで事前に確認してから行ってください。

お気軽にご連絡ください

離婚後は精神的に大変な時期が続くかもしれませんが、気持ちを切り替えて、届出と在留資格変更の手続きを早期に進めることが重要です。

私たちは、お客様の状況に寄り添いながら、迅速で丁寧なサポートを提供します。

「定住者」への在留資格変更に向けて、全力でお手伝いさせていただきます。

どうぞ、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

ご留意事項

出入国管理に関する情報は変更される場合がありますので、常に出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

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