入管手続きにおける「身元保証人」とは?|役割・責任・依頼のポイント

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はじめに

当事務所には、永住申請のご相談をはじめ、在留資格に関する手続きにおいて「身元保証人」についてのお問い合わせを多くいただいています。

身元保証人は、たとえば永住申請時、「日本人の配偶者等」の在留資格に関する手続き、あるいは離婚に伴う「定住者」への資格変更など、さまざまな場面で必要とされます。

本コラムでは、「身元保証人」とは何か、その役割や注意点について詳しく解説します。

身元保証人の法的な位置づけと責任の範囲

出入国在留管理庁のホームページのQ&Aによると、

「入管法における身元保証人とは、外国人が我が国において安定的に、かつ、継続的に所期の入国目的を達成できるように、必要に応じて当該外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人をいいます。」

とあります。

つまり、身元保証人とは、外国人が日本で安心して生活し、ルールを守るように支える役割を法務大臣に約束する人のことを指します。

保証人がその約束を果たせなかった場合でも、法的な罰則はありません。

しかし、「保証人としての責任を十分に果たさなかった」とみなされることで、今後、他の方の申請において保証人として認められない可能性はあります。

このように、法律で強制されるものではないものの、社会的・道義的な責任を伴う点には留意が必要です。

保証内容の違い:永住とそれ以外の申請

永住のための身元保証書と、永住以外の「日本人の配偶者等」「定住者」など他の在留資格の手続きのための身元保証書は、保証する内容が異なります。

永住以外の在留資格では、「滞在費」「帰国旅費」「法令の遵守」の3点を保証しますが、永住申請では「法令遵守や公的義務の履行を支援すること」が求められます。

身元保証人の選び方

身元保証人には、安定した収入があり、納税義務を果たしている日本人または永住者の中から、現在の在留資格に応じて、適切で信頼のおける人物を選ぶようにします。

日本人や永住者の配偶者であれば、当然、配偶者を身元保証人に選びます。

就労系の在留資格から永住などの申請する場合は、職場の上司、学生時代の恩師、信頼できる友人など、信頼関係のある方に依頼するのが一般的です。

信頼できる人物に身元保証をお願いすることで、日本での安定した生活状況を裏付けるアピールにつながります。

身元保証人が提出する書類

かつては、身元保証人の方には、身元保証人の課税証明書・住民票・在籍証明書などの書類の提出が求められていましたが、2022年6月1日以降運用が変更され、現在は身元保証書と身分証明書のコピーのみとなっています。

身分保証書は、入国管理庁のホームページからダウンロードできますが、前述のとおり、永住申請と永住以外の申請で保証する内容が違いますので、正しい様式を選んで下さい。

身元保証人選定の難しさと依頼のアプローチ

身元保証人と聞くと、躊躇する人が多いのも事実です。

特に日本人は、まわりから「保証人にはなるな」と聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか。

これは、民法上の連帯保証人を想起し、「保証人=債務不履行の肩代わり」といった強いイメージを持っている方が多いためです。

その結果、万一の場合の金銭的負担を恐れて、身元保証をためらう方も少なくありません。

しかし、前述のとおり身元保証人が法務大臣に約束する保証事項に法的な強制力はありません。

身元保証人が約束を守らなくても、当局からの罰則や命令はなく、「守ってくださいね」と注意喚起を促すにとどまります。

この点と、身元保証人の準備する書類がシンプルなものであることなどを、しっかり説明をしながら、身元保証人の候補者にアプローチしてみてください。

おわりに|身元保証人について理解を深め、早めの準備を

身元保証人の役割や注意点について、ご理解いただけましたでしょうか。

永住申請を検討する際などに、身元保証人の選定に奔走しがちですが、まずは理解を深めて、早めに依頼の準備を進めることをお勧めします。

申請にあたっては、さまざまな審査要件を満たす必要があり、準備すべき書類も多岐にわたります。

不許可を避けるためにも、入管業務に精通した行政書士へのご相談をおすすめいたします。

当事務所でも全力でサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

ご留意事項

出入国管理に関する情報は変更される場合がありますので、常に出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。

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